献血制限の緩和
二日くらい前にお母さんは、新聞を読んでいて見つけた日赤の広告に目がとまった。
「本日より、英国滞在歴に関する献血制限が緩和されます。」
という内容だったらしい。
数年前に国内で確認された狂牛病患者の事を受けて、一定の期間に英国滞在歴のある人は献血ができなくなったとか。
子供の頃に病弱だったお母さんは、独身の頃は毎年会社に来る献血車で献血をしていたんだって。
本当は小さい頃からイヤというほど注射をしてきたから注射なんて大っ嫌いらしいけど、献血の必要性も病院で色々な事を目の当たりにしていたから分かっていた。
だからあのブッとい注射針に恐怖心を抱きながらも、怖くてグーパーの手に力が入らなくて他人の倍も時間がかかっても、毎回献血を欠かさなかったんだ。
そんなお母さんにとって献血ができない!というのは、大好きな?ボランティアを一つ奪われたようなもの。
お母さんは1990年にヨーロッパ旅行をして、イギリスにも2~3日滞在したから、ちょうどその規制に引っ掛かったらしい。
ほんの数日滞在して、もしかすると牛肉を食べて、もしかするとその牛が狂牛病かもしれない、そんな確率ってどれだけだろう?
そしてそれが発症して血液を介して他人に感染する確率なんて限りなくゼロに近いだろうに、意味ないじゃん!とお母さんは結構腹立たしそうに言っていた。
せっかく献血したくてもこんな制限があるんじゃどうしようもない、今の時代なんていくらでも旅行する人はいるんだし、こんな規制があったらただでさえ少ない献血者がもっと減ってしまうのに・・・
献血の呼びかけを目にする度に、お母さんは不満を口にしていたから、今回のこの広告は待ってましたという感じみたい。
でもその裏事情は、少し前に流行った新型インフルエンザのせいで、献血者が一層減ってしまい、その挽回策の一つらしいとか。
背に腹は代えられないだろうけど、最初からもう少し考えて対応すればいいのにって感じたみたいなお母さん。
今は寒いからちょっと無理かも、でももう少し暖かくなったら日赤ビルに行こうかな?って考えてるみたい。