パタパタお母さん
去年はじーじの認知症が分かったせいで、お母さんはじーじの車の廃車手続きや運転免許証の返納から、病院への送迎だの買い物の荷物運びだの、市役所での介護認定手続きやケアマネージャーとの面談だの、初めての仕事がドッサリ増えた。
覚悟はしていてもやっぱりというかついに来たな、って感じらしいけど、あれこれ思い悩んでもどうにもならない。
お母さんだって更年期の不調があるし、鬱の原因が分かって色々と考えてきたから、落ち着いて対処しているように見える。
去年の夏からお姉ちゃんは大学進学の為に、一人暮らしを始めた。
「結婚してから20年ちょっと、また振り出しに戻ったみたい」
とお母さんは言っている。
でも違うのは二人っきりじゃなく、ぼく達が居るって事。そのおかげで寂しくないし、気持ちが元気になるって
今年こそ、もう少し元気になって、家の事を片付けたい!ってお母さんは言っていたのに、お姉ちゃんがバイト先でノロに感染したらしく、SOSのメールが来た。
すぐにアパートに向かい三日間看病して、看病疲れのせいかお母さんも軽くうつったみたいな感じで親子共々家に帰って来たんだ。
そうして家でじっくりお母さんとお姉ちゃんは休養し、元気になったお姉ちゃんは今週アパートへ戻って行った。
今度はインフルとかかからないといいけど・・・と心配そうなお母さん。
ぼく達も去年までは結構猫カゼひいて、随分と動物病院へ通ったけど、今はお母さんも家にいるから今のところは大丈夫なんだ。
茶太郎の心臓病も今以上悪化しないといいな。
周りが病人だらけじゃ、お母さんも元気になれないし、ボクも気をつけないと。
なめ猫
今日お姉ちゃんが朝ご飯を食べ終わってから、お母さんがキッチンへ行った。
洗いものがまだだったはずなのに、コンロの上の卵焼きフライパンがやけにピカピカ
「あれ?お姉ちゃんが洗って・・・ないよね」と横のシンクに置いてあったお皿を見て確認。
そしてもう一度卵焼きフライパンを見ると、まだ新しいのに白い傷みたいなものが見えた。
何だこれは?と思ってよ~く見ると、ナ、何とそれは
猫のヒゲだった~
「一体誰の仕業だ」
「しまはやらないだろうから、茶太郎かノリスケ・・・」
そしてお母さんがお姉ちゃんにその事を話したら、どうやらお姉ちゃんが朝ご飯を食べる時に、コンロ横の調理台にノリスケがジャンプして上がったりしていたらしい。
そりゃもうノリスケしかいないだろ、ってアッサリ犯人判明
「て事はフライパンの油舐めたって事?あのキレイさは舐めたせい??」
ひえ~、ってお母さんは気持ち悪そうにしていた。
今までもやってたのかな?これが初めてかな?とにかくアイツにはもっと気を付けないと。
食べ物が入っていなくても、必ず鍋やフライパンには蓋しないとダメだよ、ってお母さんはお姉ちゃんに注意していた。
「やっぱり独立したキッチンが欲しい~!!」
それにしても「ナメ猫」ならぬ「舐め猫」とは。
油なんて美味しいのかな?ボクは怒られそうな事はやらないから、どうでもいいけどね。
お母さん、まだまだ油断大敵、お疲れ様
凸凹三兄弟
去年の夏にうちにやって来たノリスケとマスオ。
マスオは二月に県内西部のA町に貰われて行き、ノリスケ一人が残ってしまった。
本当なら兄弟一緒が良かったけど、里親さん宅には先住猫もいるらしく、一匹だけという事になったみたい。
まあノリスケはお母さん大好きっ子だから、家に残る方が嬉しいかも?
ボクは子供(猫)が苦手だから、普段は極力ノリスケには関わらないようにしている。
精神年齢が近い?茶太郎はよくノリスケにちょっかいを出したり出されたり、一緒に遊んだり喧嘩したり追いかけっこしている。
ノリスケはどうも他の猫との関わり方が良く分からないみたいで、いきなり相手の頭を叩いたり背中を甘噛みしたりするから、喧嘩を売ってるみたいに勘違いされるみたいだ、ってお母さんが言っていた。
ホントはビビリで弱いから虚勢を張って、やられる前にやってやるみたいな??
そんなところもあるから、猫カフェに連れて行っても他の猫達に相手にされていない、というか嫌われているみたいな・・・
唯一仲良くしたい♀猫達にも、「シャー」ってやられてるみたいだし、可哀想な気もしないでもない。
そんな感じですっかりうちの子みたいな感じになってるノリスケ。
最近はボクもたまには頭を舐めてやったりすると、お母さんが凄く嬉しそうにするんだ。
まあボクの方は喧嘩売らないのに、アイツが売って来るのがダメなだけで、普通にしてれば仲良くできるんだしね。
このまま夏になってもノリスケの里親さんが決まらなければ、うちの三番目の猫になるみたい。本人は既にここんちの子だと信じてるみたいだけど
まあ何とかうまくやっていければいいな~
茶太郎の事
今日茶太郎は病院へ行った。
先週、嘔吐と食欲不振で診察を受けて、一週間分の薬をもらい、飲み終わったらまた診察を受ける予定だったし、数日前からノリスケ達兄弟からうつったクシャミの症状もあって、それも一緒に診てもらうつもりだったらしい。
そんなよくある軽い風邪の診察のつもりで行った病院で、全く考えもしなかった「茶太郎が心臓病らしい」という事を言われたお母さんんは、とてもショックを受けて帰って来たんだ。
勿論、今すぐどうこうなる訳じゃないみたいだし、心筋症が悪化しないよう、血栓による下半身の麻痺が起こらないよう、これからはずっと薬を飲んで、定期的に検査を受け続ける事で、最悪の事態を招かないよう治療を勧められたみたい。
茶太郎が嘔吐した前日あたり、お母さんは茶太郎の顔が急に痩せてやつれたように見えた。
「あれ?なんか顔が小さくなってない?」って。
確かにボクが見ても、頬のあたりがこけたように見えるし、実際体重も減っていたらしい。
だからお母さんはてっきり腎臓病を疑っていたらしいのに、まさかの心臓病だとは予想外だし、命にも直接関わる病気だから、冷静に受け止めようと思いながらも、小春の事から立ち直ってきたとっころに、この通告は結構堪えたみたい。
茶太郎の心臓薬の錠剤の飲ませ方を、病院で教えてもらわないと、って言ってるお母さん。
今はボクが一番年上だけど、とりあえずは病気じゃないし、ここはボクが頑張ってお母さんを励まそうと思っている。
そう言いながら目薬さされそうになって、大暴れしてしまい怒られたんだけど・・・
「アンタだけでも素直に目薬させなさいよォ~ッ」
頭では分かっていても、つい身体が勝手に暴れてしまう・・・
ごめんなさい、お母さん
行く猫 来る猫
6月に家にやって来たクロエとコジロウ、そしてモクの三匹。
約二ヶ月の間うちで一緒に過ごした子猫達は、モクが自分を最初に見つけた人の所へ。
そしてクロエ達姉弟は、県内のM市という少し離れた町の里親さんの所へ行ったんだ。
どちらもそれぞれの家で幸せに元気に過ごしているらしい。
丁度ボクや茶太郎がこの家に来たみたいにね(・ω・)/
やっと平和な日々が戻ると思う間もなく、ほんの数日経っただけで、またしても子猫(と言えるかどうか・・・)二匹兄弟猫がやって来た
今度の兄弟は生後半年位経っていそうな、結構身体も態度もデカイ白黒猫。
黒いのはノリスケ、白いのはマスオって「サザエさん」に出てくる名前をもらったらしい。
彼らも猫カフェの常連さんが、近所で気になる野良ネコがいるからと、保護を頼まれたオーナーが保護して、ちょうど子猫達がいなくなったこの家に白羽の矢が立ったらしく・・・
お母さんはコジロウの看病ですっかり疲れ果てていたから、里親さんが早く見つかったのがとても助かったと言っていたのに、またしても子猫の預かりとは。
本音を言えば断りたかったのを、ノーと言えないお母さんは仕方なく引きうけるハメになってしまったらしい。
「野良だけど診察を受けたら、感染症も寄生虫もなくてすごく状態がいいから」と言われ、結局うちに来たんだって。
それなのに数日後ノリスケが下痢をして、検査をしたらなんとよりによってたちの悪い寄生虫「ジアルジア」が寄生しているのが判明
しばらく薬を飲んでもなかなか治らず、お母さんがネットで調べたらこれが相当大変な病気らしい。
「毎日トイレの砂交換して、熱湯消毒した」とか「毎日床掃除をした」とか、今のお母さんには1000%無理な話を見て絶句していた。
ただでさえ更年期鬱みたいな感じで、普通の家事でさえ大変なのに、そんなのできる訳がない。
猫部屋でもあればまだしも、人間も猫も同じ居住空間にいてそんな事は絶対無理なのは明らかだ。
でも今更返すわけにもいかない、どこに返すっていうんだ??また野良に帰す?
そんな事はできない、でもちゃんと世話もできない。
おまけにノリスケはマスオと違ってとても頑固。
爪切りはイヤシャンプーもイヤお尻や足を拭くのもイヤ注射器の薬を飲まされたり、下痢止めの薬を舐めさせられるのも大っ嫌い
お母さんはお父さんに手伝ってもらったりしながら、引っかかれたり蹴られたりして傷を作りながらも何とか薬を飲ませ、病院に検査用の持参で通い、仕事が休みの日も休む間もなくぐったりしている。
「引き受けなきゃ良かった」と言いながら、今更どうにもならないジレンマで、お母さんは今日もタメイキだ。
ボクにできる事はジアルジアがうつらないよう気を付ける位しかないけど、せめてお母さんを元気づけてあげよう